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「やめられない止まらない」のはかっぱえびせん。かっぱえびせんのおいしさの秘密はサルエビがいっぱいはいっているからなのです。世界中で三千種ものエビがいます。天然・養殖・多国籍・伊勢エビ・車に大正と,数ある中で上流階級に限定されているエビではなく,一般庶民に愛されている「サルエビ」にスポットライトを当ててみました。
江の島の水族館・金沢のシーパラダイス,行って見て驚いて感激する魚あれこれ取材旅行。本で学ぶだけよりも魚ふれあい,親子ふれあいの貴重な体験を得られます。今回,サルエビを訪ねて大洗に出かけようと思いましたが,時間と天気に裏切られ実行出来ず。大洗浜泰の社長さんに,電話でサルインタビューをしただけに終わりました。浜の市場でのお忙しい仕事の中,親切にお話してくださいました。
サルエビは全体に淡いグレーのボディーで小サルから,10センチの大サルまでの車エビ科に属するエビです。世界では18種類はど知られており,どの種も短毛でおおわれています。内湾では水深20〜30メートル,外海に面した場所では50メートルの探さまで生息しています。
横浜の市場に入荷するサルエビは大洗出身が最も多く,小型底曳網でとられています。昔は,サルエビの漁獲量が非常に多く,多い時で千キロ,少ない時で4〜5百キロ程でした。今は昔に比較し半分程に減少したために,//浜値キロ1200〜800円の大サルが,今はキロ1600〜1800円もしています。
サルエビの産卵期は5月から10月にかけてですが,旬とは関係なく1年中とれます。操業5トン未満の船は11月から6月まで,5トン以上の船は12月1日から3月31日まで,沖に出る10トンクラスは9月から6月までです。従ってサルエビは小船の出漁する時期が句でしょう。
大型船は沖で一泊する事があるけれど,小型船は朝出たら夕方には戻るので大洗のサルエビもタイも実にピチピチと新鮮なのです。大洗のサルエビは築地より横浜に多く出荷されていますが,東京は句の時期のみ人気があり,句をはずれたサルはあまり歓迎されなく,値が出ないためだそうです。
ところで,サルエビは売り損なってお店に一泊してしまうと頭部が黒くなり,実に鮮度が落ちやすいデリケートなエビです。4月中頃の脱皮の期間中も頭にみそを持つ時は特に鮮度が落ちやすいのです。
次に,サルエビの調理方法ですが,なんと言ってもかき揚げが最高ですが,塩ゆでしてサラダにしたり,カレー・ピラフ・たき込み御飯・里いもや季節の野菜と煮付けたり,いろいろな料理に向いています。サルエビの頭を取り,皮をむくのは手間がかかり,忙しい主婦にとって実にめんどうくさいエビですが,他のムキエビの薬や保存料のかかったものよりはるかに安全な自然食品です。それに小さなサルエビは値段が安くて味は格別。火を通すと赤く美しく変身するサルエビは我が家では大人気なのです。
さて,サルエビの名前の由来についてですが,この質問は大洗の漁師さんに聞いてもわかりませんでした。私の独断では,一匹を手に取って良く良く観察すると腹部に短く細い毛がはえているのがサルと呼ばれる理由かと思います。
また,猿という動物は昔から日本人に愛されているポピュラーでかわいいイメージがあります。猿カニ合戦では悪役でしたが,桃太郎の家来だったのも猿。日光東照宮でも有名なのは猿です。音楽界でも「野猿」「猿岩石」とか言った名前の歌手が売れているのです。エビも猫エビ,犬エビといった名前よりもサルエビの方がはるかに親しみやすく良い響きだと思います。
猿は,大洗に行かずとも,上野や野毛山動物園でも会う事が出来ます。それに,横浜の市場にても大ザル・小ザル・メガネザル・オランウータン,猿あれこれ,見たり見られたりするようです。
最後に大洗で大笑いのジョークをひとこと。大洗の漁師さんは皆,哲学をしています。何故なら,毎日「サルトル」=サル獲るをしているからです。現代市場社会では哲学より商売の鉄学を学んだ方が良いと,市場大学のさる教授が語っているとかいないとか。
哲学者サルトルの著書に「存在と無」がありますが,サルエビの存在とムキ身は,家庭平和を築くのに大いに役立っています。猿のおしりと顔は赤。百日紅(さるすべり)とサルビアの花も赤。これからもアカデミックな魚あれこれをめざしてがんばりたいと思います。(K・F)
横浜魚市場卸協同組合 |