秋味(サケ)
横浜魚類株式会社
通常「サケ」と呼んでいるのは、「白サケ」のことです。一方「秋味」は、産卵のために北海道沿岸の川には9月頃から、本州の川に11〜12月頃を中心にさかのぼってくるものをよびます。
特に南部(岩手県)に帰ってくるオスは、口先が長く突き出て曲がっていることから「南部の鼻曲り」として有名です。
秋に沿岸に回遊して来た「秋味」は、脂肪も多く、生で刺身や寿司、酢の物や北海道の郷土料理「ルイベ」などで味わいを楽しめます。また、火を通して鍋物類や塩焼き・バター焼きなどにもできます。
一方遡上を始めた「秋味」は脂肪分が少なく、加工品に適しています。身を新巻きや山漬け(熟成塩漬け)にしたり、メスの卵巣を、筋子やいくらとして食します。
うろこは、海洋性コラーゲンが豊富なほか、オスの精巣(白子)はDNA(デキオシリボ核酸)が豊富で、栄養補助食品や健康食品などの原料としても使用されています。
このように捨てる部位がほとんど無く、北海道のアイヌでは「神がくれた魚」と呼ぶなど、貴重な魚のひとつになっています。
(平成18年9月15日神奈川新聞掲載)
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