アネモネ
神奈川県園芸市場
アネモネは、鮮やかな色の花を咲かせる秋植えの球根植物です。
地中海原産のキンポウゲ科で、草丈は20〜40cm。太く長い茎の先に、羽状に分裂した葉と大きめの花をつけます。美しい色の花びらに見えるものは、じつは「がく片」です。8〜12枚ほどで、輪状についています。花の中心には多数のおしべと黒紫色や緑色の「柱頭」があります。花径は5〜7cmが普通ですが、最近は10cm以上の大輪もあります。花の色は赤、白、紫、あい色、桃色など多様で、アレンジフラワーなどでも重用されています。
アネモネの語源はギリシャ語の「アネモス」(風)からで、英語でも「ウインドフラワー」と呼ばれています。由来には諸説あり、春風が吹くところに育つとか、ローマ神話の風の神から愛された乙女アネモネの化身などといわれます。さまざまな伝説を持つこの花は、十字軍によってパレスチナからヨーロッパにもたらされ、15〜18世紀に英国やオランダでさかんに品種改良されました。
日本には明治初期に渡来しました。牡丹一華(ぼたんいちげ)、紅花翁草(べにんばなおきなぐさ)という別名もあります。切り花は3〜5月が出荷最盛期で、国内では長野県や千葉県などから入荷しています。春を迎えるお部屋に飾ってみてはいかがですか。(神奈川県園芸市場)
(平成18年3月10日神奈川新聞掲載)
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